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日本古謡「さくら」
さくら さくら
弥生の空は
見わたすかぎり
霞か 雲か
匂いぞいづる
いざや いざや
見にゆかん
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「さくら さくら」 昭和16年国民学校初等科音楽教科書『うたのほん 下』(2年生用)
さくら さくら
野山も里も
見わたすかぎり
かすみか雲か
朝日ににおう
さくら さくら
花ざかり
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「咲いた桜」
咲いた桜
花見て戻る
吉野は桜
竜田は紅葉
唐崎の松
常磐常磐(ときわ ときわ) 深緑
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「櫻 旧咲た桜」 箏曲集第一編第二曲(文部省音楽取調掛 明治21年1888)
桜佐くら
弥生の空ハ
見渡春か起り
霞か雲可
に(弥のつくり)不ひぞ似徒る
いざや いざや。
見に(弥のつくり)ゆ可舞
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この「さくら」という曲は唱歌ではありません。もちろん童謡でも。
「古謡」と紹介されますが、どうもそれにもしっくりこないのです。
「さくら」という「曲」というしかないような存在感を得ています。
琴などの古楽器以外にもさなざまな演奏スタイルでとりあげられますが
Jazzで自由奔放に演奏されるされる「さくら」もいいですね。
06.4.8
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「朝日」は日本、
「におう」は「美しい」「映える」の意。
本居宣長の和歌、
「敷島の 大和心をひと問はば 朝日に匂う 山桜花」
からとられているそうです。
歌詞の向こうにこめられた「大和心」、
太平洋戦争開戦の昭和16年という時代とともに考えたい歌詞です。
教科書の歌詞がありながらも人々が口ずさみ心に刻まれたのは「弥生の空は・・」の旧歌詞であることにほっとします。
本居宣長は江戸時代の国学者。
この項、安藤潔氏 「桜と日本人」ノート によります。
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